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第5回 遺言のすすめ

第5回 遺言のすすめ

 皆様は、「遺言書」の作成を考えたことがありますか。

 

 法律上は、15歳を超えると遺言ができるとされています(民法961条)が、さすがにそんな若い年齢で自分の財産を把握して遺言書を書く人がいるとは現実的ではありません。

 

 しかし、年齢を重ねて余命が少なくなってくると、自分の財産をどうするのか、遺族には負担をかけたくないなど、遺産の処分について思い悩む方もそれなりに存在することも事実であります。

 

 遺言書の作成をお勧めすると、大抵の方は「縁起でもない」、「財産なんてあまり持ってないし、子供たちがもめるようなこともないから心配ない」と思っているようですが、本当にそうでしょうか。いざ相続が発生し、家族間で各自の相続分をめぐって争いが起こることがままあり、資産の大小に関係なく家族が円満な関係でいられるようにすることが、遺言書を作成する意義でもあります。実際、相続分の争いで家庭裁判所に持ち込まれる案件のうちの70%以上は、遺産が5,000万円以下の場合と言われています。

 

 なお、遺言には、原則として「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」があり(民法967条)、遺言書の種類、作成方法は民法で厳格に定められています。

 

 ここでは、一般的に使われる「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」についてみてみます。

【遺言書の種類】

 

  自筆証書遺言 公正証書遺言

遺言者はその全文、日付、氏名を自書したうえ、押印する(民法968条)。 公証役場で2名以上の証人の前で遺言内容を公証人に申し述べ公証人が遺言書を作成する(民法969条)。

  • ・手軽にいつでもどこでも書ける。 
  • ・費用がかからない。
  • ・誰にも知られずに作成できる。
  • ・公文書として強力な効力をもつ。 
  • ・家庭裁判所での検認手続きが不要。
  • ・死後すぐに遺言の内容を実行できる。 
  • ・原本は公証役場に保管されるため紛失
  • ・変造の心配がない。

  • ・不明確な内容になりがち。 
  • ・形式不備で無効になりやすい。
  • ・紛失、偽造、変造、隠匿のおそれがある。
  • ・家庭裁判所での検認手続きが必要。
  • ・証人が2名以上必要。
  • *成年者でかつ推定相続人やその配偶者、直系血族等は証人になれない。 
  • ・費用がかかる。

【遺言書を作成するメリット】

 遺言書を作成することによる代表的なメリットを紹介します。

 

①生前のうちに相続財産の分け方を指定できる(民法908条1項)、②特定の相続人に「相続させたい、させたくない」が指定できる(相続人以外は民法964条)、③遺言執行者を指定できる、④認知と未成年後見の指定ができる、⑤事業承継に活用できる、⑥相続手続きに必要な書類が少なくて済む、⑦相続人が遺産分割について話し合う必要がなく、相続人同士の争いを未然に防ぐことができるなど、そのメリットは多く、公正証書遺言の場合も、公証役場に行く手間や手数料等の経費はかかりますが、自分亡き後、家族間での争いの種を残さないためには、遺言書の作成をおすすめします。

 

 次回は、「自筆証書遺言」の作成及び作成上のルール、次々回は「公正証書遺言」の作成及びそのルールについてコメントする予定です。

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