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自筆証書遺言の書き方【改正民法対応】

自筆証書遺言の書き方【改正民法対応】

こんにちは。

司法書士法人リーガル・フェイス広報の佐藤です。

今回から私、佐藤より少しライトな内容のコラムを投稿させていただきます。

相続に関する用語や制度は、難しく複雑なものも多くございますが、できる限り噛み砕いてご紹介していきますので皆様のご参考になれば幸いです。

さて、今回は“自筆証書遺言”の書き方について

今一度まとめてみました。

もしよければ最後まで読んでいってくださいね。

 

 

1.自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とはつまり“自分で書いた遺言(ゆいごん)”のことです。

紙とペンさえあれば「今すぐにでも」書くことができるのが、この自筆証書遺言の特徴です。

費用もかからず、誰でも気軽に書けるところも魅力ですよね。

一方で自筆証書遺言は、書き方のルールをしっかりと守らなければ

「せっかく書いたのに無効になってしまう」といったリスクも秘めています。

今回はそんな自筆証書遺言の書き方について、手順をまとめたので

「効力のある遺言」を目指してルールをおさらいしていきましょう。

今年4月に民法の改正がございましたが、そちらにも対応しておりますので

ご安心くださいませ。

2.まずは事前準備! 自分の全財産はどのくらい? 相続人は誰?

自筆証書遺言を書くにあたり、はじめにご自身の財産を正確に把握する必要があります。

遺言を書くということは、自分が亡くなった後の遺族を想ってのことでしょうから

ここで正確な財産を把握しておくことはとても重要になります。

なぜなら、少しでも遺言に記載し忘れていた財産があると

それが遺族間の争いのタネになり得るからです。

財産の内容について示す“財産目録”を作成しながら、しっかりとご自身の財産を整理しましょう。この時、プラスの財産だけでなくマイナスの財産、つまり負債の内訳も合わせて記載することがポイントです。

財産目録についてはまた別の記事でご紹介しますので、

ここでは一先ず「財産について表に書き出すのね」くらいに捉えておいてください。
また、相続人名簿(相続人以外の者にも遺贈する場合にはその者を含めたもの)を作成して誰が自分の相続人にあたるか把握しておきましょう。

3.想い想いの遺言を、いざ執筆! 書く際に気を付けるポイントは?

続いて、遺言を書く際に念頭に置いておくべき“書き方のコツ”をご紹介します。

次のポイントを踏まえた上で書き始めると、より遺言が書きやすいと思いますよ。

①「何を、誰に、どのくらい?」

遺言を書く際に、一番意識しなければならないポイントが

「何を、誰に、どのくらい」相続するのかです。

この部分が不透明になってしまうと、第三者が遺言の内容を読んでも

「財産のうちの一体何を、誰に、どのくらい相続したら良いのか」が

まったくわかりませんよね。

次の図は遺言書の見本ですので、こちらを雛型として当てはめて書いていくと

スムーズに書けるかと思います。

②必ず手書きで!


自筆証書遺言は必ず手書きでなければなりません。

これは、自筆証書遺言が必ず本人によって執筆されなければならないことが理由として挙げられます。

もし自筆証書遺言の作成がワープロでもOKだったら、実は本人以外の第三者が遺言を作成している可能性だってありますよね。

なのでしっかりとご自身の想いを乗せながら、遺言をしたためるのが良いかと思います。


改正ポイント!

自筆証書遺言の方式が緩和されて、財産目録は自筆によらないもの(パソコン等で作成したものや、通帳のコピー等)を添付することができるようになりました。

ただし、この財産目録には毎葉に必ず署名・押印が必要となります。

遺言まめ知識

ちなみに、手が不自由な方は足や口で書いても大丈夫ですのでご安心くださいね。

ただし補助を受けて書いた場合には少し注意が必要です。

なぜなら、あくまでも自筆証書遺言は“本人”が書かなければならないので

せっかく書いた遺言に補助者の筆跡が認められてしまうと「本人が書いたとは言えなくなる」からです。

4.ココを漏らすと無効⁉ 絶対に忘れてはいけない3つの作業!

最後に、書き漏れると無効になってしまう特に大切な作業を3つ確認していきましょう。

どんなに内容を整理して遺言を書きあげても、この3つの作業のうちどれか一つでも忘れてしまうとその時点で遺言が無効となってしまいます。

注意深くしっかりと確認しましょうね。

①日付

遺言書には作成した年月日を記入しなければなりません。
日付印などによる記載は無効となりますので、必ず手書きで記入してくださいね。

この日付を書き忘れるだけで、せっかく書いた遺言が水の泡となってしまいますので要注意です。
また、遺言書が何通もある場合については後の日付のものが有効となります。

書き直した場合は古い遺言書を見比べて、書き忘れた事項はないかどうかよくチェックしておきましょう。

②署名

手書きでの署名がなければ、こちらも遺言が無効となってしまいます。
その際、本名ではなく芸名やペンネームでも「本人である」と分かれば問題なく認められます。

意外ですよね! 

とは言え“もしも”という場合がございますので、よほど芸名やペンネームが浸透している方でない限り本名で署名するのが無難だと思います。

③捺印

弊所の司法書士の中でも「よくある」と多く声が挙がるのが、捺印漏れです。
自筆証書遺言へは必ず押印しなければなりません。(民法第968条)

押印がない自筆証書遺言は無効ですので十分に注意しましょう。

ちなみに、遺言書が複数枚にわたってしまった場合に、「契印」は必要なのかどうか気になる方もいるかもしれませんね

この部分については、

【遺言書が数葉にわたるときであっても、その数葉が一通の遺言書として

作成されたものであることが確認されれば、その一部に日附、署名、捺印が適法になされている限り、右遺言書を有効と認めて差支えないと解する】という判決がでておりますが、

一通の遺言書として作成されたものと認められない場合や、後々の相続人間のトラブルを回避するためにも、決して一カ所だけ押印しておけば有効だとは思わず、複数枚になる場合はすべてのページに契印をしておきましょう。

捺印するという行為は、遺言を書き終えてちょうど気が緩みがちなタイミングでの作業ですが

最後まで油断せずに書き上げましょう。


5.封筒へ入れて完成!

最後に、遺言を書き終えた後の保管方法についてご紹介します。

まずは遺言を入れる封筒ですが、自筆証書遺言の場合は必ずしも封筒に入れなければいけないという決まりはございませんし、封入していないことで無効になる事もありません。

しかし遺言を確実に相続人へ届けるためには、封筒に入れ、さらに遺言に押印した際に使用した印で封印する事が望ましいでしょう。

このひと手間が遺言の改ざんや偽装防止へ繋がるのです。

改正ポイント!

以前こちらの記事でご紹介しましたが、自筆証書遺言を法務局で保管してくれる制度が始まりました。

ご自身の手元で遺言を保管していても良いのですが、それでは管理が大変かと思いますし、ご自身の死後にせっかく書いた遺言を相続人に見つけてもらえない可能性もありますよね。

この制度の利用は紛失や偽造・変造の危険を防ぐ事にもなりますので、積極的な利用をオススメします。

利用に関する詳細は、第18回 法務局における遺言書の保管についてをご確認くださいませ。

6.まとめ

今回の記事は「遺言の書き方編」でしたが、いかがでしたか?

自筆証書遺言は「気軽」かもしれませんが「手軽」ではありません

なぜなら自分で作成しなければならない分、出来上がった遺言が有効な書類となるように

ご自身で入念にチェックする必要があるからです。

次回は遺言に書くことのできる項目について、細かく解説していこうと思いますので

今回の記事と合わせてチェックしてみてくださいね。

自分で遺言を作成するのが不安な場合は、公正証書遺言(公証人と一緒に作成する遺言のこと)をオススメしています。

気になることがあった際は、いつでもご連絡くださいませ。

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