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【新制度】いらない土地は国に返す!  「国庫帰属制度」が創設

【新制度】いらない土地は国に返す!  「国庫帰属制度」が創設

 こんにちは。リーガル・フェイスの田中です。約半年ぶりの登場となります。

 今回は令和3年4月に国会で成立し、同月28日に公布された「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」の中の、「相続等により取得した土地所有権の国庫帰属に関する法律」(令和3年法律第25号、以下、単に「国庫帰属制度」という。)について、ご紹介します。

 ちなみにですが法の施行日は、公布から2年以内とされています。

1.国庫帰属制度とは?

 相続又は遺贈により土地を取得した所有者は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を求めることができるようになりました。

 以下に述べる各種要件(かなりハードルが高い)をクリアし、その管理に要する10年分の費用を納付して初めて土地所有権が国庫に帰属することになります。

 この制度が創設されたことにより、民法に所有権放棄に関する新たな規定は設けないことになりました。

2.なぜ国庫帰属制度が創設されたのか?


一体なぜ今回「国庫帰属制度」が創設されることになったのか、その背景として以下4つが挙げられます。

1. 社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地が増加し(その総面積は九州全体の面積に相当するといわれています。)、国や自治体が公的な事業のため用地買収等を行う際に、その土地の所有者がわからず土地の円滑・適正な利用に支障をきたしている
2. 急速な少子高齢化等の社会情勢の変化に伴い、土地を手放したいと考える者が増加している
3. 所有者不明土地の発生を抑制する方策として何らかの規定が必要
4.

現在の法体系では、土地所有権を放棄するような規定がない

 

 
 以上の理由により、国庫帰属制度が新設されたものと考えられます。


3.国庫帰属の承認を求める要件とは?

相続又は遺贈により土地を取得した土地所有者が承認申請するときは、以下のいずれにも該当しないことが要件となります。

1. 建物の存する土地(法第2条第3項第1号)
2. 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(同項第2号)
3. 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地(同項第3号)
4. 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(同項第4号)
5. 境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(同項第5号)
6. 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(第5条第1項第1号)
7. 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(同項第第2号)
8. 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(同項第3号)
9. 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの(同項第4号)
10. 1から9までに掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの(同項第5号)

 

 以上の各要件をクリアしなければ、承認申請は認められません。省令、政令の詳細はこれから決められます。

 さらに、承認申請が認められると10年分の管理に要する費用の納付(第10条第1項)が必要となり、申請者が管理に要する費用を納付したときに、土地の所有権が国庫に帰属します。(第11条)

⁂ 事実の調査:承認申請の審査のために、必要があると認められるときは、法務局職員が当該土地及び隣接土地などの事実調査をすることができる規定(第6条第1項、2項)も設けられているので、この点にも注意を要します。


4.国庫帰属があまりオススメできない理由

前記のように、承認要件のハードルが高く、申請時に手数料がかかり(第3条第2項)、承認後の費用もそれなりに要する(第10条第1項)となると、土地を手放したいと考えている人も、承認申請を躊躇することが想定されます。

理由1:条件を満たしていない土地は国庫帰属できない

前記、1から10までの条件のうちいずれか1つでも当てはまってしまうと、承認申請は受理されません。

理由2:費用は相続人が負担しなければならない

申請する相続人は、承認申請時の手数料、承認審査後の10年分の管理費用(詳細は政令で定める)など手続上で発生する費用を負担しなければなりません。

理由3:実地調査に協力しなければならない

申請の内容によっては、法務局職員による当該土地の実地調査を受けることが考えられます。その際は、調査に協力しなければなりません。

 正当な理由がないのに 調査に応じないときは、申請が却下されることがあります(第4条第1項第3号)。また、調査妨害等をすると6月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則処分の規定もあります(第17条)。

まとめ

以上が国庫帰属制度の概要でした。承認申請手数料及び10年分の管理費用を負担して国に所有権を帰属させるのも一つの方法ですが、土地を手放す手段としては売却する方法もあるので、十分検討のうえ土地の処分を考えたほうが良いと思います。その際は司法書士等の専門家に相談するのがよろしいかと思います。

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