士業コラム メインビジュアル

COLUMN

リーガル・フェイスの
士業コラム

生前の遺産分割って?

生前の遺産分割って?

こんにちは。

司法書士法人リーガル・フェイスです。

 

ある人が亡くなってその人の相続が開始すると、亡くなった人の財産を誰がどのように引き継ぐかを決めるため、相続人間で話し合いを行うことになります。

 

では、もしその人の生前に、遺産の相続に関して取り決めをしたり、相続放棄の合意をした場合、その効力はどうなるのでしょうか。

 

本コラムでは、生前に行った遺産分割等の効力について解説いたします。

 

 

1.生前に行った遺産分割等の効力

1-1 遺産分割の場合

被相続人(亡くなった方)の生存中に、被相続人と相続人間、あるいは共同相続人間において、遺産の相続に関する取り決めをしたとしても、法的な効力は生じません。

 

これは、被相続人が生きている間に、財産の変動や、相続人の変動は当然ありうるため、被相続人の死亡後でなければ、遺産分割の対象となる財産や相続人の範囲が確定しないためです。また、被相続人の財産は、生存中は被相続人のものであり、たとえ将来の推定相続人であっても、他人の財産を処分することはできないためです。

 

そのため、生前に行った取り決めを法的に有効なものとするためには、被相続人の死後に改めて相続人全員により協議を行う必要があります。

 

1-2 相続放棄の場合

相続放棄についても、被相続人の生前に行うことができません。

 

これは、相続するかしないかは相続人の自由な意思によるべきところ、被相続人により相続放棄を強要されることを防ぐためです。

 

そのため、相続放棄を望む相続人は、被相続人の死後、自己のために相続の開始を知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てする必要があります。

 

2. 被相続人の意思を実現するための他の方法

生前の遺産分割が法的な効力を生じないとしても、相続発生後にも相続人全員の考えが変わらず、相続人間で同じ内容の遺産分割の合意ができれば問題は生じません。

 

しかし、合意から相続開始までの間に長い時間が経つことにより、事情が変わり、相続人の考えが変わるなどで、同じ内容での遺産分割の合意が難しい場合も考えられます。

 

そこで、争いに発展するリスクを避け、被相続人の意思を確実に実現するために、どのような方法が考えられるでしょうか。以下では、その方法として、遺言、生前贈与、民事信託について解説します。

 

2-1 遺言

被相続人の意思を実現する最も確実な方法として、遺言を作成することが挙げられます。

 

遺言は人の生前における最終の意思表示に法律的効果を認めて死後にその実現を図るものです。したがって、遺言者が自己の生前の意思を実現するための方法として、最も適したものといえます。

 

もし被相続人がご存命であれば、取り決めの内容に沿った遺言書を作成してもらうことも検討するとよいでしょう。

 

なお、遺言により遺言者(被相続人)は、自己の財産を自由に処分することができるものの、遺留分制度により、その処分に制限が加えられる場合があることに留意が必要です。

 

遺留分とは? 

「一定の相続人が相続につき法律上取得することが最低限保障されている相続財産の一定の価値的割合」をいい、兄弟姉妹以外の相続人に認められる権利です。

 

遺留分侵害額請求権(遺留分を減らされた相続人が、減らされた分のお金を請求できる権利)を行使するかしないかは、遺留分権利者の自由にゆだねられており、相続開始の前後を問わず、遺留分を放棄することも可能です。

 

ただし、相続開始前の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可審判がなければ、遺留分放棄としての効力は生じません。

 

遺言の内容が遺留分を侵害するものである場合は、遺留分を巡り、紛争の発生が予想されます。そのため、当事者間の争いを望まないのであれば、遺留分を侵害しない内容に遺言を修正すべきです。

 

それでも、あえて遺留分を侵害する恐れのある遺言を残したい場合には、併せて、遺留分が侵害される可能性のある相続人に、遺留分の放棄を行ってもらう方法も考えられます。

 

遺言については下記の記事もご覧ください。

【自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリット】

2-2 生前贈与

生前の段階で財産を譲り渡したい特定の人がいる場合は、生前贈与を利用することで、被相続人の生前に、確実に財産を移転することができます。

 

生前贈与と遺言とでは、生前に財産を引き継ぐか、死後に財産を引き継ぐかという違いに過ぎないようにも思えますが、生前贈与を利用することによるメリットはあります。

 

例えば、生前贈与をして相続時の財産を減らすことにより、相続税の軽減につながる可能性があります。

 

また、相続時精算課税制度等の贈与税の非課税制度により、贈与税を軽減することできます。さらに、将来的に評価額の上昇が見込まれる財産であれば、評価額が上昇する前のタイミングで贈与することにより、支払うべき税額が増えるのを防ぐことができます。

 

なお、生前贈与が遺留分の侵害に該当する場合があることは、遺言による場合と同様です。もっとも、遺言とは異なり、贈与者が存命中であることから、贈与に際して、事情を相続人に説明し、納得してもらうことで、トラブルを事前に防ぐことも期待できます。

 

 

贈与については下記の記事もご覧ください。

【遺贈と生前贈与のメリット・デメリットを比較!】

2-3 民事信託

民事信託とは、将来の判断能力の低下や相続の発生を見据え、財産の管理・処分権限を、家族などの信頼できる人に託す仕組みです。

 

信託は、信託によって実現しようとする目的のために自らの財産を受託者に預ける人を委託者、委託者から預けられた信託財産を管理・処分する人を受託者、受託者から信託契約にかかる給付を受ける権利などを有する人を受益者とし、信託契約を結ぶことで成立します。

 

遺産分割が相続発生後の財産の帰属を定める手続きであるのに対して、民事信託は、信託契約の定めに従って、死後の管理・承継方法だけでなく、生前の財産の管理・承継方法まで定めることができます。

 

遺言と比較すると、遺言による財産承継が一代限りであるのに対し、信託では、例えば「妻の死後は長男が信託財産を取得する」といったように、次の承継先を定めることができます。

 

また、遺言では被相続人の生前の財産管理について定めることができませんが、信託では、信託契約に定めることにより、受託者に信託財産の管理、運用、処分を生前から行ってもらうことができます。

 

民事信託については下記の記事もご覧ください。

【民事信託とは? メリット・デメリットを解説します!】

3.おわりに

以上、生前の遺産分割について、その効力と対策をご説明しました。

 

リーガル・フェイスでは相続手続きや生前対策のサポートを行っております。

お困りごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

一覧へ戻る