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2014/11/19

名古屋支店

民法改正要綱仮案を見た結果

 

2006 年2月に法務省が、民法(特に債権法)について、

抜本的見直しを行う

という方針を決定して以降、法制審議会で議論が進められ、

今年の9月に民法改正要綱仮案が公表されました。

改正目的としては、

①民法を制定以来の社会・経済の変化

に対応させること、

②国民一般に分かりやすいものとすること

――が中心となっています。

 

このままいくと2017~18年ぐらい?には改正民法が

施行されるかもしれません。

 

 

改正にあたって私生活で特に影響がありそうなところでいえば、

消滅時効、連帯保証、法定利率の話あたりでしょうか。

 

消滅時効を例にあげると、現行法は(一部抜粋)

医療費、工事費用は3年(170条)

弁護士費用、塾の授業料は2年(171・173条)

飲食等のツケ、レンタルビデオの料金は1年(174条)

と職業別短期消滅時効の定めがありました。

 

改正によってこれらを廃止し、一律に

債権者が権利を行使することができることを知った時から【5年】

と大幅にかわっております。

 

この170条~174条はもともと何の合理性があって定めてあるのか

議論の出る箇所ではあったので廃止して当然といえば当然。

というのも民法は明治時代(1896年)に作られてそのままでしたので

その当時は分ける必要性、合理性があったのかもしれません。

 

いずれにしても、この【5年】

というのが消滅時効の基本になるようです。

※現在、民法167条には

債権は10年行使しない時は、消滅する

と規定されています。

しかし、これを

1.債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、

2.権利を行使することができる時から10年間行使しないとき、

消滅する。

に変えるようです。

 

5年で時効が完成するので、職業別の部分は別として

時効の援用が効く場面が増えそうです。

つまりは、ある程度の常識として、

時効の中断事由も知っておかないと、

消滅時効が完成してしまい無権利になってしまったり、

逆に完成しそうだったのに知らないうちに中断事由に

あたる行為をしてカウントがゼロになってしまったり、

 

ということが起きてしまうおそれがあります。

まあこれは、現在でも知っておくべきことに変わりはないのですが。

 

 

メディア等では注目される改正点はだいたい同じような

ところばかりですが、

本当に様々な条文が変更されています。

ただ、変更とはいっても、

重要な判例の一部を条文化したものが多いので

内容がガラッと変わる感じはありませんが。

 

ちょっと驚いたのが民法95条の錯誤が

無効ではなく取消し事由と正式に条文上扱われる点。

 

・・・てことは、

 

いずれ錯誤無効という言葉は消えるのかなと。

 

いずれ錯誤無効なんていったら「え、あいつ旧法。笑」

とか言われてしまう時代がくるのかなと。

 

きちんと勉強しておかないと、いらない不安が募るわけです。

 

 

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